女性の一生を理解しましょう

 年齢とともに変化する女性の体。大きく分けて5つのプロセスがあります。

 生殖機能を持たない少女期、初潮を迎える思春期、心体ともに充実し、結婚出産などの重要な役割を果たす成熟期、少しずつ体の機能が低下する更年期、人生において豊かな時間を過ごす老年期。

 漢方の観念では女性は7の倍数で体に変化が現れるといわれています。例えば2×7=14歳で初潮、4×7=28で女盛り、7×7=49歳で更年期などが挙げられるといいます。

漢方的にみる年代別女性の悩みと対策

● 20代

多くの女性が悩む『冷え症』

 女性の約7割が冷え症だと自覚しています。原因として考えられるのが冬のミニスカート、冷たい清涼飲料水の多量摂取などの生活の不摂生です。生活習慣や食事療法などが改善のポイントです。

生理痛の影に大病の可能性も

 月経時にはある程度の痛みがあるのが普通ですが、体のバランスが崩れたときにはひどい痛みを引き起こします。子宮内膜症や子宮筋腫などの重篤な疾患の際も激痛を感じるので軽視できません。

生理不順・無月経に要注意!

 無理なダイエットやいろいろなストレス、偏った栄養によって気・血・水の3つのバランスが崩れて正常な生命活動ができなくなり、ホルモンバランスが乱れることで生理不順や無月経になります。自分の体に対する意識の低さからか、月経異常が女性の体に与える影響の大きさを軽視する女性が多いようです。

● 30~40代

放っておくと怖い於血(おけつ)

 血流がうっ滞し生理機能を十分に果たせなくなった状態にある血液、及びそれによって起こる諸症状。30代以降の於血は肩こり、腰痛、冷え症、月経不順として現れ、放っておくと不妊、子宮内膜炎、子宮筋腫、重度の更年期障害などにつながりやすくなります。

妊娠への準備を整えるために

 赤ちゃんを迎えるために妊娠前・妊娠早期に冷え症や於血を治して体の環境を整えることが重要です。

● 更年期

特有の症状を持つ更年期障害

 女性の閉経は個人差があるものの、平均49歳と言われています。この前後15年間、精神的イライラ、のぼせ、体がむくむなどの特有の症状を更年期障害と言います。

気・血・水とは?

 漢方では人体は気、血、水の3要素が体内を循環することによって維持されており、この3つの要素が偏ったり滞ったりすると不調や病気などが起こると考えられている。

気(き)の不調

気虚【ききょ】

 気が全体的に不足している状態。
 気力の減退や疲労感、だるさ、食欲不振などが見られる。

気鬱【きうつ】・気滞【きたい】

 気の流れが障害された状態。
 頭が重い、息苦しい、おなかが張るなどの症状がみられる。

気逆【きぎゃく】

 気の流れが逆行している状態。
 のぼせや動機、発汗、不安感などがみられる。

血(けつ)の不調

於血【おけつ】

 血行不良の状態。
 月経異常、便秘、色素沈着などがみられる。

血虚【けっきょ】

 血液が全体的に不足している状態。
 貧血、皮膚の乾燥、血行不良などがみられる。

水(すい)の不調

水毒【すいどく】・水滞【すいたい】

 体液が必要なところには少なく、必要ない部分に溜まっている偏った状態。
 むくみ、めまい、頭痛、下痢などの症状がみられる。